辺獄奇譚 メイガスロマンサー

帰路に迷う子供を捕らえ、人形へと変えて弄ぶことを至上の歓びとする、極悪な魔女。

ある日、暇つぶしに仮想世界の散歩に出た際、漆黒の戦士と異形の者たちが壮絶な戦いを繰り広げている現場を偶然目撃する。

聞けば、戦士は異形の者らの勢力によって生み出された存在だが、その事実を知らず悪を打ち砕く英雄を気取っているらしい。

なんと愉快な見世物か。その有様に心からの感動を覚えた魔女は、傍から見ているだけでは飽き足らぬ、もっと間近でこの喜劇を体感したいと、異形の組織――「悪役結社ヴァリアール」その拠点への侵入を試みた。

魔女の侵入は静かなものであったが、ヴァリアール施設警備課は僅かな痕跡からこれを察知。

戦闘アンドロイド・リューゲが出動し、速やかに魔女は取り押さえられた。

もがく魔女の前に、翼を持つ影が現れた。諜報部の長、悪美叫喚のnoreturnだ。 「面白そうな力を持っているようね」そう呟くや否や、魔女の懐に手刀を突き立てる。 引き抜かれた手には、魔女の心臓が握られていた。

「結社に刃向かうなら命は無いけど、どうする？」 魔女は苦悶しつつも、顔に笑みを浮かべた。 「たとえ首の皮一枚の状況だとしても、特等席で面白いものを観られるなら安いものだワ」 そして、魔女は怪人結社の一員となった。